海外進出が企業にとっての価値を生むのか(1)では、大口取引先の生産海外移管に伴ってどうしても海外進出が必要な
状況を自らの改革のきっかけにできないかという観点での考察を行いました。この場合、進出先を自ら選ぶことはできません。
今回は、自主的に進出を考えるときの基礎的な情報および、リスクとその対応策について考えてみました。
各国の奨励業種
新興国の多くは、それぞれ自国の目指す姿を実現するうえでメリットがあると思わる業種に外資への奨励策を設けています。具体的には法人税を一定期間免除するなどの策が多いようです。これはCAGE分析のA:Administrative 制度 にあたります。
製造業
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インフラ/エネルギー
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IT等
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サービス
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その他
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フィリッピン
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〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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台湾*1)
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×
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×
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×
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×
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×
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ベトナム
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〇
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〇
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〇
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×
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×
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ミャンマー
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〇
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〇
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〇
|
×
|
×
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マレーシア
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〇
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〇
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〇
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×
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〇
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インド
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△*2)
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〇
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〇
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×
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×
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シンガポール
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〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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タイ
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〇
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〇
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×
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〇
|
×
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出典:JETROホームページ 2011年 国・地域データ比較より 筆者作成
*1)特定の業種は無いが、研究開発が奨励されている
*2)研究開発を主目的として企業には優遇有
JETROの国別・地域別データ比較は、人口、宗教などの基礎的情報、基礎的経済指標、貿易為替制度のデータも比較できるので、最初の基礎的情報収集には非常に便利なサイトです。
この表に挙げた9か国の中ではインドが唯一連邦制です。連邦制の場合、規制、税法、商習慣等が違う場合があるので、市場規模を考えるときに考慮が必要です。また、文化的な違いの観点から、民族により嗜好、流通網の違いがある場合があります。基礎的情報を分析するときには、この点も考慮に入れる必要があると思います。
日本語人口
中小企業にとって、進出先で日本語が出来るスタッフを雇用できる環境なのかは気になる点だと思います。直接のデータではないのですが、日本語教育への関心の間接的な指標として日本への留学生数が考えらえます。独立行政法人 日本学生支援機構のホームページに外国人留学生在籍状況調査結果というのがあります。平成24年度の出身国ランキングは次のようになっています。絶対数としてはホームページに記載があるので参照してください。
1)中国 2)韓国 3)台湾 4)ベトナム 5)ネパール 6)マレーシア 7)インドネシア 8)タイ 9)アメリカ画集国 10)ミャンマー
次に総人口に対する割合で並べると次のようになります。(総人口は一部だけの調査)外国留学は金銭的にも負担が大きいのですが、国ごとの経済格差は考慮に入れていません。モンゴル、マレーシアの日本への関心の高さがうかがえる結果になっています。
1)モンゴル 2)韓国 3)台湾 4)マレーシア 5)ネパール 6)中国 7)ベトナム 8)シンガポール 9)タイ 10)スリランカ 11)カンボジア 12)ミャンマー
進出リスク
事業の海外展開を成功させるために必要なものを考える(1)でITに関するリスクは記述しました。一般的な進出時リスクのカテゴリー、要素として主なもの、それぞれの対応戦略は次のようになります。
対応戦略の中身については次回解説します。
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