2013年6月26日水曜日

海外進出のリスクを抑える33の戦略 (4)

+水谷穣 

3回にわたり、海外進出リスクのを抑える22の戦略を紹介してきました。今回は5番目のカテゴリーCAGEへの対応戦略11個を紹介します。

前回までの投稿はこちらをご覧ください。


対応戦略全体をまとめた表を再掲します。

海外進出時主なリスクと対応策
海外進出時主なリスクと対応策

CAGE差異分析はパンカジ教授が提唱している分析手法で、企業が海外進出を行う際に進出先の環境が自国とどの様に違うかの分析を行うためのものです。

Culture文化的差異(隔たり)、
Administrative制度的差異、
Geographical地理的差異、
Economic経済的差異

の四つの切り口から分析を行います。それぞれの切り口での隔たりが大きければ大きいほど、ビジネスリスクが大きいというのが、パンカジ教授の研究で明らかにされています。ここでは、ビジネスリスクの要素としてこの四つを取り上げています。


5.1.1 製品の多様化



このカテゴリーの最初のリスク要素は、文化的な差異です。

1950年代以降繊維をはじめとした様々な品目で日米貿易摩擦が発生しました。日本では貯蓄率が高く消費に向かいにくい事がその原因の一つと言われています。しかし、高度成長期以降は三種の神器と言われた家電製品を始め様々な品物が消費されてきました。

自動車は70年代に二度オイルショックが起こった特殊事情があったにしろ、家電製品の需要は一貫として伸びていた時期であり、米国製品が買われなかった理由は日本の住環境に合った製品が無かったと言う事だと思います。

インターネットの普及で世界はフラット化してきたと言われています。それでは、現代では文化的な違いが以前として製品の売れ行きに影響があるのでしょうか?


先日の投稿で紹介した「日本のアレは世界で売れんのか?」という番組で、たらこスパとナポリタン、カレーパンとカレーうどんがそれぞれイタリアとインドで売れるのかという実験を行っていました。それぞれが売れてはいたのですが、やはりそれぞれの国での嗜好に、より適応させた商品の方が相対的に売れていました。この結果を見ると、やはり文化的な違いへの「適応」は必要だと言う事が理解できると思います。

この「適応」戦略の四つの要素の内の一つが製品の多様化になります。これは基本性能は維持したまま、その国の製品に対する評価基準の部分を変更しより売れやすくすることを目的としています。

この戦略のデメリットは、市場の規模にもよりますが製品を多様化することで規模のメリットを追求できにくくなることにあります。また、バリエーションが増えることで偏在庫、在庫過多など在庫効率を悪くするデメリットもあります。


5.1.2 プロトコル見直し



BtoBでの顧客ステータスの階段
この図はBtoBでのビジネスに於いて、その顧客がどのような階段を経て優良顧客(長期間かつ売り上げ規模の大きい顧客)になるかを図式化したものです。

それぞれのステータスから次のステータスに行くには、必ず働きかけが必要です。例えば市場からリードに移るためには、自社製品の存在を知ってもらう必要があります。店頭で行うのか、広告で行うのか、インターネットを通して行うのか、チャネルの違いはありますが、働きかけの本質は情報提供です。

BtoCのビジネスにおいても同じことが言えます。AIDMAと言われるように、購買を決意するためにはA:注意をひき、I:興味を持ってもらい、D:欲しいという欲求を持ってもらい、M:記憶してもらい、A:行動してもらうステップがあります。このそれぞれのステップから次のステップに移るためには働きかけが必要です。

BtoBにおいても、BtoCに於いてもこの購買行動のステップは国境を越えて同じだと言われていますが、「何を」きっかけに次のステップに行くかに文化的な差異があります。従って、働きかけの本質である情報提供を行う際に、その文化に適した方法およびメッセージを伝える必要があります。これがプロトコルの見直しの内容です。


5.1.3 絞り込み(製品、地域、セグメント)



5.1.1「適応」戦略の一つとしての製品の多様化を上げました。多様化することのデメリットは、上述した様に規模の経済を追求しにくい事にあります。絞り込み戦略は、文化的な差異に対応しつつ規模のメリットを追求することを目的としています。

製品で絞る場合には、多様化しないで通用する文化へしか進出しないということになります。地域、セグメントも絞り込みの範囲が違うだけで、基本的な考え方は同じです。

一方一つの国だけでは規模のメリットが追及できない場合、「集約」戦略を取ることも考えられます。この場合には、製品をその文化圏に一旦「適応」させ、同じ仕様で受け入れられる文化圏/国をまたがった地域に展開する事になります。複数の国に進出することが前提となるので、中小企業にはハードルが高いかもしれません。


5.1.4 設計:多様化のコストを減らす



この戦略も製品の多様化戦略のデメリットである、規模の経済を追求しにくいことへの対応を目的としています。規模の経済を追及すると言う事は、売上原価に占める固定費の比率を下げることを設計または、生産技術で追及するのがこの戦略です。

具体的には、多様化する製品の基本的な構造、機能等をプラットフォーム化し統一したり、若干形状が違う金型を汎用化する等の取り組みになります。


5.2.1 プロフェッショナルサービスの活用



CAGEカテゴリーの二番目の要素は、A:制度的な差異です。これは、資本構成(独資が許されているか否か)、税法(法人税、所得税、消費税等)、商習慣、商法、関税、営業許可、各種規制(安全基準)などの制度の違いによるリスクです。このリスクへの対応は最新の知識を得られるかによることから、その情報に精通したプロフェッショナル(会計士、税理士、弁護士)を活用するのがこの戦略の内容です。


5.2.2 現地化、アライアンス



この、戦略は海外企業の直接投資で独資が認められていない場合への対応策になります。


5.3.1 状況の可視化



3つ目の要素は、地理的な差異(隔たり)です。この要素には、コミュニケーションを取る際に障壁となる時差、コミュニケーション円滑化に欠かせない人の行き来を阻む要素となる物理的な距離、その国の文化・人々の気質を形成する基本となる気候や季節の移り変わりの違いなどが含まれます。

時差や物理的な距離は、どこでもドアが発明されない限りなくすことはできません。次善の策として、これ等の条件によって引き起こされかつビジネス遂行上非常に重要なコミュニケーションを効果的に行う事をこの戦略では目的としています。

コミュニケーションを効果的に行うには、まず相手の状態がどの様になっているかを知る必要があります。これを遠隔地で且つ文化・言語が違う場所同士で行うには、お互いの共通言語を持つ必要があります。ここでいう共通言語とは、数字の内容、発生タイミング、作業・活動の内容、その品質、レベル感を定義することを含みます。

数字内容の定義例として、売上は、正価なのかディスカウントを行った後の正味なのかといったことです。

また、作業内容定義の例として、上に掲載したBtoBでの顧客ステータスの階段でリードから案件にステータス変更を行う前に、顧客の課題は何か、なぜそれが課題なのか、この課題を解決できるとどの様な効果がもたらされるのか、顧客の中でこの課題対応することが公式承認されているのか、競合他社はいるのか、予算はどの程度なのか、決定プロセスはどのようになっているのか等の情報を収集することを義務付けるといったことです。更に、この内容を担当だけではなく管轄するマネージャーが把握しているのかをチェックする手順も必要になるかもしれません。

このように言葉の定義、作業手順を定めお互いで共有することで初めて「共通言語」と言えるものが構築できます。ある状況であることが把握できると次に、対応策を段階になります。ここでも文化・言語の違う人間同士が理解しやすいように共通言語、特に作業・活動の内容を定義することが必要です。

三つ目にその活動状況がリアルタイムに把握できる仕掛けを用意する必要があります。これによって、適宜迅速な対応が組織だってできるようになります。

以上が状況の可視化の内容です。状況の可視化をマーケティング・営業・アフターサービス全体を通して行う活動については、こちらを参照ください。


5.3.2 製品の多様化 5.3.3 設計:多様化のコストを減らす



内容としては、5.1.15.1.4で述べたものと同じです。ここでは、気候・季節の変化の違いによる差異に対応することを目的としています。


5.4.1 価値の発見・再定義



四つ目の要素は、E:経済的な差異です。新興国へ製品販売で進出しようと考える場合には特に大きな壁になる要素です。良いモノであっても、購買力に見合ったものでないと売れない状況が発生します。

日本のアレは世界でも売れんのか?」でも、価格設定をその国での類似カテゴリー製品と同じに設定していました。一方で販売価格を闇雲に下げるだけでは、収益確保が難しくなりますしブランドイメージへの悪影響も非常にあります。

ベトナムに進出した某家電メーカーが看板商品である液晶テレビを販売するのに参入当初値引きで対応していたところ、「安値のメーカー」というイメージが市場に蔓延してしまいその後の対応に非常に苦労したことがあります。

このような状況を防ぐには、機能を絞り進出先の購買力に見合った原価のセカンドブランドを投入することが考えられます。機能を絞るには、進出先の顧客たちがその商品としての価値をどこに見出すのかを見極める必要があります。顧客が何に価値を見出し、製品として再定義する作業がこの項目の内容になります。


5.4.2 製品の多様化 5.4.3 設計:多様化のコストを減らす



対応策の内容としては、5.1.15.1.4と同じです。目的は購買力の差に対応するための原価低減にあります。


まとめ



4回に分けて海外進出におけるリスクの対応戦略を33個紹介してきました。全てを活用するものでもありませんし、また企業及び市場の状況によっては、別の対応策が必要な状況もあると思われます。リスク対応を考えるときのチェックリスト、あるいは視点のチェックリストとして活用してもらえると幸甚です。

内容に関してご意見、ご質問等ありましたらこちらからお問い合わせください。





2013年6月19日水曜日

海外進出のリスクを抑える33の戦略 (3)


2回にわたって固定費カテゴリーに含まれる11のリスク対応戦略について記述してきました。今回は2つ目のカテゴリー、人材から4番目のカテゴリー為替に含まれる11の対応戦略を紹介します。

前回までの投稿はこちらをご覧ください。


人材カテゴリーでのリスク要素は、離職率の高さです。これに対応する戦略は4つです。以前に投稿した「8000人以上のアジア人財へのアンケート結果に基づくアジアにおける企業の国別人気度調査から」でディスカッションしましたが、なぜ離職率が高いかを分析してみると、スキルミスマッチがその要因として挙げられています。


2.1.1 海外向け職務要件の明確化



スキルミスマッチを防ぐ手立てとして、海外で雇用を行う際に日本人とはプロトコルの違う外国人にも明確に理解してもらえるJob Description (職務要件定義書)を用意する必要があります。


職務要件定義書の作成と評価の全体像
外国人にも明確に理解して貰える職務要件定義書を用意する際の、推奨ステップを紹介します。

1) まず、会社全体(進出拠点)のミッションを明確にします。


このために、次の4つの作業を行います。このステップを通して、それぞれの組織が果たす役割、それを遂行するための権限、組織が連携するために必要な情報の内容(何を誰が用意するか)と必要なタイミングが明確になります。


A)   戦略的なゴールの設定:何を、いつまでに実現するかを記述。
B)   理由の明確化:なぜ、そのゴールを達成したいかを記述。
C)   組織機能の明確化:ゴールを達成するために必要な機能とそれぞれの役割・権限を記述。
D)   実現ロジックの設定:組織機能がどの様に連携してゴールを達成するかを記述。


2) 同じステップを踏み、各組織に於いてのミッション、役割権限を明確化します。



各組織のミッションには組織としてのゴール、なぜそのゴールを達成する必要があるのか、ゴールを達成するために必要な構成人員(マネージャー、スーパーバイザー、メンバー等)と各々の役割・権限、それぞれの人員がどの様に連携するかを明確にします。


3) 各ポジションの職務要件定義書作成



上記の作業を通して整理・記述した内容をそれぞれのポジションごとにまとめた物が職務要件定義書になります。ここまで準備できれば、「行間」を読む必要が無くなります。また、なぜ記述されている業務が必要なのか明確になっているので、その業務が実行できなかった時に、代わりに何をすべきなのかを各人が考えるように促すことが可能になります。


更に、戦略的ゴールを達成するために必要な事柄が全て明確になっているので、目標管理及び目標達成への貢献度評価も理解しやすくなります。


半期または年度での目標を設定し、それぞれの期間でフィードバックすることで、組織への浸透を図ります。ボーナス支給の基準に流用することも可能です。



2.1.2 海外でのキャリアパス明確化




高業績者の行動特性を分析することで、組織に貢献する人を採用するコンピテンシー採用を以前紹介しました。この考え方を採用プロセスに導入することがキャリアパス明確化の最初のステップになります。


次に、拠点内でのキャリアパス明確化には、上述の職務要件定義が活用できます。それぞれのポジションでのやるべき事(なぜ、何を、いつまでに、どのようにして)が明確に記述されているので、キャリア指導、昇進の判断にも客観性をもたらすことが出来るようになります。


更に、MBA保持者や学位保持者を採用しかつ離職しないで活躍してもらうためには、拠点にとどまらないキャリアパス明確化が必要になってきます。なぜなら、これらの高学歴者を採用する上での競合は日本企業ではなく進出先国の一流企業や外国籍企業になり、これ等の企業は少なくとも地域での職務ポジションをそのキャリアパスに組み込んでいる場合が多いからです。


野心的な高学歴者にとって、より難度の高い仕事をこなすことが自己実現につながります。優秀な人間ほど多くのオファーを受け取るのは、どの国においても変わりはありません。より高度なチャレンジを提供できる環境を用意する事が、高学歴者の定着率を高めるポイントです。


2.1.3 シェアードサービス・アウトソース化



この対応策の狙いは、「人材が定着化しないのであれば、定着しなくても業務が遂行できるようにする仕掛けを用意する。」ことにあります。特に人事、経理、購買など間接業務または集約させた方が効果が出る業務に関しては、国をまたがって業務遂行する組織(シェアードサービス)を日本国内に立ち上げることで、人材流出からくるリスクを低減することが可能になります。


更に、これ等の業務のうち企業にとって競争優位を生まないものに関しては、業務委託(アウトソース)を行う事リスク削減だけでなく費用低減効果も期待できます。


国によっては、国外で実施できない業務を規定している国もあるので、検討段階での情報収集は徹底してください。



2.1.4 営業プロセス可視化



優良顧客創出営業プロセス全体像
優良顧客創出営業プロセス全体像
この対応策は、営業人員が離職した際に顧客が流出するリスクを低減することを目的としています。


直接的には、顧客との過去のやり取り情報などをデータベース化しておくことで、後任者への情報希釈化を防ぐ効果があります。



更に、優良顧客(継続的に自社製品を購入し、かつ購入金額も大きい)を増加させるプロセス運用を組織立って行う事で、顧客の自社へのロイヤリティーを高め、直接のコンタクトである営業人員が離職したとしても顧客の離脱を防ぐ効果があります。


3.1.1 代理店設置を含むアライアンス



リスクカテゴリー3の顧客ベースに関しての対応策です。海外進出では事情を明確に把握でいていない環境で顧客ベースをゼロから造り上げていく必要があります。一つ目のリスク要素としては、販売チャネル構築です。


販売チャネル構築が上手にいかないリスクに対しての対応策の一つ目は進出先の事情に通じた、代理店設置または現地企業とのアライアンスを行う事になります。


製品としての適応があまり必要でないもので且つ、自社の製品と補完関係にある企業、または補完関係の商品を扱っている販売チャネルと業務提携関係を結ぶことが出来れば、早期に網羅的に販売網を構築することが期待できます。


一方で、CAGE差異から適応が必要な製品の場合、進出先の情報からどうして距離が生まれてしまい、必要な適応を適宜行う事が難しくなるリスクもはらんでいます。


直接販売網を構築するかアライアンスを選択するかは、CAGE分析とADDING価値分析を行い総合的に判断する事をお勧めします。


3.1.2 M&A



販売チャネルでの二つ目の対応策はM&Aです。1.4.4で工場設置の際の対応策としてM&Aに関する注意点をディスカッションしています。


販売チャネル構築リスクへの対応策の一つとして挙げましたが、M&Aそのものに大きなリスクが内在するので、この策を採用する際には総合的に判断する必要があります。



3.2.1 営業プロセス可視化 → 適応



製品によっては、CAGE差異を埋める「適応」を行わないと売れないモノがあります。特に、消費者の嗜好が文化に深く根ざしている食品や耐久消費財でも生活習慣によって評価基準が違うものには必ずオリジナルになった製品に進出国の嗜好に合う適応を行う必要があります。


適応実験の舞台
この対応策の最初のステップとして、進出前の検討段階においてこちらの投稿で紹介した適応への「実験」を行う事をお勧めします。


この実験を実施することで、本格的な事業立ち上げ前にかなりの精度の適応仮説を立てることが可能になると共に、優良顧客を増やすプロセスでの対応策構築にも有用な情報が収集できます。


適応が有効な製品を海外で売り続けるには、製品開発プロセスにまで迅速にフィードバックが行われ、短期間で適応を実施する必要があります。理想的なのは、製品開発プロセスも含めた進出を行う事です。しかし、製品開発プロセスまで含めた進出をいきなり行うには製品によってはリスクが大きすぎる場合があります。


この場合には、最低限市場の声が組織内部に客観的に取り込まれる仕掛けの構築が必要になります。


上述した様に、営業プロセスの可視化は優良顧客すなわち自社の熱狂的なファンを作り上げることを目的としています。この過程では、営業部門だけではなく、全社的に顧客の声を吸い上げる仕掛けが構築する必要があります。


この仕掛けを構築運営することで、直接的な顧客の声を本社も含めた共通の尺度で収集することが可能になり、適応に対する度合い及びスピードを向上させることが可能になります。


4.1.1 契約条項見直し


チャート
為替チャート 出所:ロイター




四つ目のリスクカテゴリーは為替です。アベノミクス以降の対ドルレートの変動は極端な動きと言われますが、この為替チャートを見ても分かるように、為替には変動リスクがあります。


自らがコントロールできない外的要因で発生し、かつ急激な変動がおこるため海外進出する際に一番大きなリスクと言っても過言ではありません。


このリスクへの最初の対応策が取引通貨を決める契約条項をリスク低減できるように見直すことです。但し、為替レートの変動は必ず取引の当事者どちらかに不利益をもたらすことになります。


従って、長期的な取引関係を望む場合には不向きだと思われます。


4.1.2 各種リスクヘッジ



次の対応策は為替の変動が起こっても、可能な限り自社の業績に影響が及ばないようにするリスクヘッジを行う事です。


その一つには、予算策定時に設定する社内レートを保守的に設定することがあります。計画収益を確保するためのヘッジにはなりますが、実際には損が発生する場合もあるので消極的な策と言えます。


実際に収益を確定させるためには、取引発生時に為替予約をするなどがあります。グローバル企業の例も紹介しているので、こちらの投稿を参照ください。


4.1.3 多国展開



11の関係だと、必ずどちらかが不利益を被るのが為替リスクです。であれば、それを相殺させるような複数の国へ展開してしまおうというのがこの策の狙いです。


景気の変動も含めてリスクを分散させることが可能な一方、一般的には地理的に近いと、同じような影響を受ける傾向があります。


地理的に遠いと言う事は、CAGE差異が大きな国へ進出する事になります。この場合の進出は別のリスクを生むことになるので、総合的な判断が必要になります。


対応策の可能性として三つ用意しましたが、社内レートをその時の状況に於いて保守的に設定し、適宜必要な範囲で為替予約などのヘッジをかけることが現実的な対応策だと思われます。


次回は、CAGE差異に対しての対応戦略11を紹介します。